さてここでお話するのは、在宅介護をする上で欠かせない「福祉用具貸与」についてです。
住宅改修については前編でお話しました。
介護保険を新規で利用することになった時、一番初めに私たちケアマネが「必要かどうか」確認するのが
・住宅改修
・福祉用具貸与(レンタル)
この3つのサービス。
介護サービスはお金もかかるし(生活保護等の公費利用者以外)、場所を取るとか何とかで、おすすめしても
で流されること多々あるんですけど、住宅改修、福祉用具貸与、福祉用具購入については、わりと強めに説得して利用してもらいます。
この3つは、在宅生活を安全にかつ快適にするために利用するもの。
手すり一本あるとないとで、生活の質は全然変わってきます。
ちなみになんですが、この3サービス選定の時に、リハビリ職(PT,OT,物によってはST)が同席できたら最強です。
最強で最高です。
私が介護サービスの中でも一番尊敬しているのはリハビリ職さんたちなんですが、その方たちと、物品や建物のプロである業者さんが集まっての話し合いはほれぼれします。
私らケアマネがすること言うことなんか何にもないです。←
メモ取りながらはしゃいでるだけです。←
ちなみにこれ書いてる日も、わりと介護度の重い方の、浴室の住宅改修の見積もりがありました。
訪問看護のPTさんと業者さんがあれやこれや言うてんの
言うて見てたただけです楽しかったです。
そんな環境整備サービスの「福祉用具貸与」と「福祉用具購入」についてのお話。
中編は、介護保険サービスで利用率トップの「福祉用具貸与」についてお話していきます。
できるだけわかりやすく説明しますし、この先何か介護保険を使うとき、一番身近なサービスだと思うので、ぜひ頑張って理解してくださいませませ。
目次(クリックするとその項目に飛びます)
介護保険でレンタルできるもの(福祉用具貸与)とそのケアプランの位置づけの大原則
まずは厚労省が出している、介護保険の福祉用具の参考資料がこちら。
社保審-介護給付費分科会 第141回(H29.6.21) 参考資料1
↑同業の方は読んでくださいそうじゃない方読まなくていい←
これすごくわかりやすく書いてるから、ケアマネ初心者さんは必読です。
が、素人さんが読んでも何も面白くないので要約します。
介護保険の福祉用具貸与(レンタル)できるものはこちら。
・ 車いす(付属品含む)
・ 特殊寝台(付属品含む)
・ 床ずれ防止用具
・ 体位変換器
・ 手すり
・ スロープ
・ 歩行器
・ 歩行補助つえ
・ 認知症老人徘徊感知機器
・ 移動用リフト(つり具の部分を除く)
・ 自動排泄処理装置
青色は要介護2以上
赤色は要介護4以上
でしか原則利用できません。
でですね、これ簡単にすべての項目を説明していこうと思うんですが、あくまでも介護保険を利用しての貸与、販売なんですね。
てことは守らなくちゃいけないルールがあります。
そういうもんなんです。
介護保険とはそういうもんなんです。申し訳ない。
そのルールとはこちら。
【制度の概要】
○ 介護保険の福祉用具は、要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としている。
わかります?
わからんでもいいけどわかります?
ていうか読んでます?(失礼)
まあようするに簡単にいうと
てことやと思います私的解釈では。
介護保険、ムダ嫌いなんで。
この福祉用具はムダなものではないので、介護保険利用してレンタルしましょうね、てなケアプランを作成する必要があります。
ケアマネが作成する必要あります。
福祉用具貸与(レンタル)の種類と、ケアマネからの注意点とコツ
福祉用具貸与は11種類あるんですが、詳しく何があるか知りたいなら、福祉用具貸与の事業所のホームページを見るか、その事業所のパンフレットもらうのが一番です。
こちら大手福祉用具事業所の「ヤマシタ」さんのホームページです。
福祉用具に関しては、私が四の五の言うよりも、そういうサイトを見た方が早いです。←
なのでここでは、そういったサイトやカタログに書いていない、現場で役立つお知恵を中心に福祉用具を説明していきますね。
車イス(車イス付属品)
ものすごくべたな、皆さまが想像する車イスはこんな感じですかね。
病院なんかにあるタイプ。
介護保険のレンタルだと、だいたい月額400~500単位が相場かな。
こんなんもあるよ、ティルト式。リクライニングできるやつ。
これは高い。1000単位くらい。
街中であなたがよく見かけるこちらも実はレンタル。
これも高い。2500単位くらい。
けど!!
電動車イスは、ほんと行動範囲が広がるし、これを借りることで自由に外出できてイキイキしている人多いのですよ。
だいたい3000単位前後なので、下手にタクシー乗るよりも安くつくかもですぞ。
とにかく車イスは種類が多いし、サイズも性能も、跳ね上げだったり外せたり付け方難しかったり重かったり軽かったりたためたりたたみにくかったり分解できたり分解したはええけど組み立てられんかったり(泣いた)(号泣した)
素人さんには選定しきれません!!
レンタル事業所さんに相談すべしべし。
ただ、もし置き場所がないとか、たまにしか使わないとかだと、市区町村や社会福祉協議会なんかで激安で貸してくれたりもするので、まずは調べてみてね。
もしくはケアマネに調べさせてね。←
特殊寝台(特殊寝台付属品)
特殊寝台というのは、介護用ベッドのことです。
他のマットレスとか柵(サイドレール)とかは、「特殊寝台付属品」。
これも特殊寝台付属品で、介護保険でレンタルできます。
特殊寝台はわりと単位に幅がありますが、ベッド、マットレス、柵という一般的な組み合わせで、1000単位~2500単位くらい。
ベッドの性能やマットレスのタイプで変わってきます。
ちなみに介護保険が効くベッドであるからして、要介護者が生活しやすいためのベッド。
基本は病院にあるような、頭の高さや足や全体の高さをモーターで変えられるベッドです。
ちょっと長いや短いや狭いや広いはあるけど、基本的なサイズはそんなに変わりません。
モーターのあるベッドであることが大前提ですので、狭くなるからいやだとかもっと小さいのんほしいとか言われますけども。
もしくは広々寝たいからセミダブルとか言われますけども。
それやったら普通のベッド!!!!
買いなはれ!!!!
あ、ちなみにですが、だいたい畳二畳あればベッドは置けます。
畳二畳のスペースは何とか作ってください。
作れない方には、ケアマネとレンタル事業所さん総動員で作ることもあります。
それは単なる善意です。←
で、ベッド本体はばらして持ってくるので、玄関狭くても大丈夫。
私はこの組み立て作業を見るのがたいそう好きです。
床ずれ防止用具
これちょっとややこしいので、初心者ケアマネさん要注意ね。
特殊寝台付属品でマットレスはあるのですが、ここでいう「床ずれ防止用具」は、それよりちょっと高性能なものになります。
でもマットレスも性能のいいのはたくさんあります。
なんでいちいち分けたんですかねそれは知りません。(結論)
こんなんとか(600単位くらい)
これエアマット900単位くらい。
で、初心者ケアマネさんはなんでこれ注意かというと、「特殊寝台付属品」と「床ずれ防止用具」を間違えてケアプラン立てがちだからです。
そんでもって事業所さんから注意されがちだからです。
ちなみになぜかこの二つを間違えて給付管理しても、請求は通ります。
なんでやろ。
体位変換器
こんなんとか。
こんなんとか。
注意点なんですがこの手のクッション、保険者(市町村)によって介護保険使えたり使えなかったりするんですよ。
寝たきりの人には絶対必要なのにね。
レンタルだと300単位くらいだけど、買うと1万円越えるので、ほんと日本中でレンタル可能にしてほしいです。
とりあえずお住まいの地域では介護保険対応になっているかどうか、ケアマネに確認してもらいましょう。
手すり
手すりとは何ぞやと思われがちですが、住宅改修でも一番需要のあるのは手すり。
福祉用具のレンタルでも、一番人気は手すりです。
ここで手すりの紹介全部してたら終わりませんので、もう細かく知りたい方は福祉用具のパンフレットもらってください。
それが一番早い。←
手すりに関しては、住宅改修の方がいい場合もあるし、試しに使ってみて合わなければ返却できるレンタルの方がいい場合もあるし。
住宅改修できない環境の時にレンタルすることも多いし。
そこは臨機応変に、住宅改修の残額や、介護保険の単位の余りと相談しつつになります。
こんなんは400単位くらい。
これ200単位くらい。下の部分鉄板で、見た目の100倍重い。
よく利用者さんやその家族が自分で動かそうとして
なってる。(あかん)
とにかく介護保険の手すりはむちゃくちゃ種類あるし、すごく工夫されてて
て感動するから、マニアの人パンフレット見て。
マニアじゃない人も見て。
スロープ
これは室内用。ちょっとした段差用。
ほんと数センチの敷居とかがつまづきやすいのですよ。
サイズによって値段違うけど、小さいやつだと50単位くらい。
玄関の段差用。長さによって変わるけど、500~900単位くらい。
たたんで収納できるけど、高齢者にはちょっとしんどいかな。
デイサービスに行くときに利用したりする場合は、職員さんにセットしてもらえますから、ご無理なさらず。
ちなみに私は高齢者相手の仕事をしていて、段差や階段で在宅生活で非常に苦労する人たちをたくさん見てきたので、自分が家を買うときも
目線でチェックしました。
そういう意味ではバリアフリーのマンション最強説。
うち築50年のぼろ一軒家だけど。
歩行器
これや。
いいですかあ皆様あ
耳の穴かっぽじっていいですかあ
大事なこと言いますねえ
シルバーカー!!!!
介護保険対応の歩行器!!!!
シルバーカー!!!!
介護保険対応の歩行器!!!!!
シルバーカーと!!歩行器は!!!!
ちがい!!!まっする!!!!!!
これがめっちゃ言いたかった、何がどう違うのかは忘れたけど←
とにかく介護保険対応の歩行器は、ある程度は重いしがっちりしてるし、安定感あるし、そんなにめちゃくちゃお洒落ではない。
お洒落にしようと努力しているけど、お洒落ではない。
だから軽くてコンパクトで大げさじゃなくてお洒落なやつほしかったら
以上。
歩行器は高さを合わせたり重さとかいろいろなので(まあ基本重いけど)、いくつか持ってきてもらってお試ししてください。
だいたい300~400単位くらいです。
歩行補助つえ
これもよく勘違いされるかな。
介護保険対応の歩行補助杖ってのは
こんな四点杖やら
松葉杖やらの、とにかくがっちり体重を支えられるもので
こういう一本杖は介護保険対応ではありません。
杖は年寄りくさくていやだっていう人多いけど、私ほんと「転ばぬ先の杖」ってのは名言だと思っててですね。
必要だなと思ったら使ってほしいですね、今お洒落なのあるし。
でも、杖に頼りすぎたり、杖の操作がうまくできず逆効果の人もいますので、とりあえず誰かリハビリ職さんに相談しましょうそうしましょう。
認知症老人徘徊感知機器
ここからはちょっとマニアック(いや今までもマニアック)。
これはベッドから離床したらコールが鳴るタイプなんだけど、赤外線センサーで反応するやつもある。
ようは、動いたら通知が来て駆け付けられるタイプですね。
これもいいんだけど。けど。
こういう、GPSで検索できるやつね。
これ、取り扱ってる事業所も少ないし、介護保険対応の地域とそうでない地域あるんだけど。
徘徊してお外出る方は、絶対持っといたほうがいい!!!!
これで私の利用者さんもめっちゃ遠方で7時間のお散歩後(!)発見されたことあるし、必ず持っておくべきだと思います。
介護保険対応ならなおいいんだけど、自費で購入する価値もありますよ。
自治体でレンタルしてくれるところもあるみたいなので、ケアマネにまずは相談してみてくださいね。
移動用リフト(つり具の部分を除く)
これが吊り下げタイプのリフト
この写真のは2000単位くらいしますが、もっと高いやつもある。
これ以外と便利。玄関の段差のためのリフト。1500単位くらい。
とにかく介護保険のリフトとなると、物も大きく場所を取りますし単位も大きい。
実は私はあまりレンタルで利用してもらったことがないんです。
このあたりのアイテムを家で利用する必要があるというのは、介護負担はかなり大きい方がほとんどです。
その場合、福祉用具のレンタルも大切だけど、それ以外の方法でも負担軽減できないか、しっかり考える必要があると思います。
もちろんうまく活用すると、介護負担はぐっと減りますけどね。
自動排泄処理装置
これ実は私、ケアマネ歴10年だけど利用してもらったことない。
介護職歴は20年だけど、利用したことない。
排泄に関するものは「特定福祉用具購入」品になるから、レシーバー部分は購入になるんですね。
なるほど。
完全に寝たきりで、オムツ交換が頻回にできなかったり、失禁による肌トラブルなんかがある場合にはいいのかな。
後始末は一日一回程度でいいようなので。
要介護4、5の方対象なので、介護量の多い方に利用ですね。
福祉用具貸与(レンタル)のまとめ
実は実話なんですけど(シャレ)
今回この記事書くにあたって、画像いっぱい載せたじゃないですか。
これ実は実話(もうええ)、全部楽天の商品なんですよ!!
いやこれほんとね、ゆゆしき事態です。
もしね、介護保険でレンタルできることを知らなかったら、楽天じゃないにしても、自費で買ってしまうわけですよね。
実際住宅改修でも書きましたけど、本当は介護保険を利用してプロのアドバイスを聞いてほしかったよよよよ、てなること非常に多いんですが。
レンタルこそね、介護保険利用してほしいですね。
要支援要介護状態ということは、少なからず何らかの支援がいる状態なので、自己判断せずプロに物品を選定してもらってほしいんです。
状態に会わない福祉用具を使ってしまうと、危険な場合すらあります。
介護保険を利用していれば、定期的に点検に来てもらえるし、故障したり自分の状態が変われば、返却したり交換したりできます。
特に歩行関係の杖やらシルバーカーで
の多いことときたら!!!
意外と高齢者(の金持ち)(のセレブ)は
てレンタル嫌がる方いるんですけどね。
電動車イス実費で買おうとした人もいたわ36まん。
いやいいんだけど。
て思ったり思わなかったり思ったり思うわなそら。
とにかく介護保険の福祉用具は、皆さま思っている以上に種類があります。
つかわにゃソンソンですよ。
何があるかなんかわからないと思うので、とりあえずケアマネに頼んで、レンタルのパンフレットもらってくださいね!