昨今、異常気象や地震など、過去に類を見ないような大きな災害が相次いでいます。
今回は災害時の介護保険サービスの実態をお話し、在宅介護を続けるうえで
「災害の時どうするか」
を考える参考にしていただければと思います。
これを書いていたとある日、記録的な台風が私の住む地方を襲いまして、なかなかの被害が出ました。
大きな台風が来るということで、前日はヘルパーさんから「明日のサービスを今日行きます」「中止にします」などの連絡が相次ぎました。
デイサービスの多くも営業中止。
当たり前といえば当たり前すぎる対応です。
この日は軒並み電車も止まり、停電など、甚大な被害が出ました。
とはいえ、デイやヘルパーが利用できないと、生活がなり立たない人も在宅にはいるわけです。
そういう場合、どうすればいいのでしょうか?
目次(クリックするとその項目に飛びます)
災害の時ヘルパーは来ることはできません
実は台風のためのヘルパーキャンセルの連絡があったうちの一件は、全くの寝たきりで、ヘルパーを一日5回利用している方でした。
しかも独り暮らしの方です。
食事も排泄も寝返りもすべてヘルパーさんが入って身体介護を行っています。
台風が直撃した場合、危険なのでヘルパーを派遣するわけにはいきません、そういった場合はどうしたらいいですか?
ヘルパー事業所のサービス提供責任者からの問い合わせに
「無理せずに判断してください」
ケアマネである私はそう答えました。
それ以外の答えありますか?
幸いこの利用者さんは、働いていて忙しいけれど、何かあれば動ける家族さんがいます。
ヘルパーをキャンセルするなら直接家族さんに連絡してください、そう事業所には伝え、家族さんには
「明日台風でヘルパーが来られないかもしれません」
そう連絡しました。
でももし家族さんがいなくても、事業所には「台風ならキャンセルで構わないです」そう伝えたでしょう。
じゃあその利用者さんは
誰も来てくれないならどうするの?
そうなりますよね。
すごく厳しい言い方ですが、こういった事態にどうしようもなくなるようであれば、在宅生活は諦めて施設を選択するべきであると私は思います。
災害時優先するのは介護職であるべき
ヘルパーやデイサービスは、慈善事業ではありません。
お金をもらって契約を結び、仕事としてサービスを行っています。
じゃあ余計に、お金を払ってるんだから多少無理してもサービスをするべきという意見もあるかもしれませんが、自分の命を犠牲にしてまで利用者さんの介護に行かなくてはならないほどのお金はもらっていません。
ほんとにね、せめて「警報加算」とかね、「大雨加算」とか、そういうのがあればまた話は別かなあと思うんですけど、そういうのもないですから。
しかもヘルパーさんなんかは自転車やバイクなんかで移動して利用者さんの家に行くわけで、道中やっぱり危険じゃないですか。
デイは車ですけどそれでも危険。
どこでもドアとかあれば別ですけど無いし。
だから災害の時とかはね、もう無理しちゃだめですよね。
…て、意外とねえ、日本人真面目に行っちゃうんですけどねサービスに。
ほんとびっくりする
「え、昨日行ったんですか?」てなる
ヘルパーがいかないと食事もトイレもできない方の場合は、罪悪感があるのもわかるんですけど、ほんと無理しちゃう。
でもね、在宅で生活するってそういうことなんですよ。
かなりの覚悟がないとダメなんです。
ビジネスでの介護サービスを利用するということは、こういった災害なんかの不慮の事態は想定しておいて、それでもいいから家で生活しますという覚悟がないとダメだと思います。
在宅生活を続けるには覚悟が必要
ちょっときつい言い方が続いていてありゃ大丈夫かなとは思ってるんですけど、流れに乗って書かせていただきますね。
寝たきりや認知症なんかで、常時誰かの介助が必要なのに、施設には入らずに在宅生活をしますっていうのは、家族さんとか本人さんが熱く希望している場合がほとんどなんです。
私らはそれなりにプロなので、この状態ではもう施設がいいんじゃないですかという基準はあるんですが、それでも在宅を選ぶ。
それはもちろん否定しません。
むしろそのためにケアマネがいますから、介護サービスを駆使して在宅生活を続ける、もちろんウェルカムです。
でもね、災害等の時に、最悪誰も来ない、そんな覚悟はしておくべきだと思います。
台風なんかですとあらかじめ心構えができたりしますけど、そうじゃない災害もありますよね。
地震なんかは特にそうです。いつ起きるかわからないですから。
施設であれば、基本的にはいつも職員がいます。
在宅よりは安心ですよね。
だから施設に入りましょうという話ではないのですが、在宅生活を選ぶのであれば、いざという時のこともきちんと考えておいてほしいと思います。
これからも異常気象や災害は起こる可能性が高いし、その時に確実なサービスが受けられる保証はない。
そしてその状態が一日では済まないかもしれません。
ぜひ一度、災害時のことも想定して話し合っておいてくださいね。
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