「利用者さんによく聞かれる『介護保険お安くなるんでしょ勘違いトップ3』の質問」のうちの一つ、介護保険の訪問介護を利用した通院介助の話をしましょう。
の残念なファイナルアンサーの話をしましょう。
ちなみにあと二つは「有料老人ホームはお高いけど、特養に入るとお安いんでしょ?」☟
「介護タクシーって安いんでしょ」です。
ちなみにこっちは答えもへったくれもないです、介護タクシーは介護保険使えないんで高いです、以上。
話を戻しまして、この通院介助に対する質問は受けるというか、もうこれは絶対できるとはじめから信じきってる方が非常に多いんですよね。
少なくとも
「ヘルパーさんに病院に連れてってもらえる」
はできないわけがないと思っておられる。
が。
できないわけがあるんです。
正確には、お金に糸目をつけなきゃできる。
さらに正確には、訪問介護事業所のやり方というのが非常に反映される話なので、一概に安くならないとも言い切れない。
そんな煮え切らない答えになってる理由をお話しましょう。
この問題についてはとてもとても周知していきたいと思っているので
ぜひご一読いただければ幸いです。
目次(クリックするとその項目に飛びます)
要支援でヘルパーを使っての通院介助の利用は難しい
まず、いつでも複雑要支援1・2の人は、そもそも通院介助の利用が難しいと思っていただいた方がいいです。
通院介助は、ヘルパーさんに病院へ連れて行ってもらうわけですから、介護保険上、訪問介護の「身体介護」で計画を立てます。
これは、体に触ったり、体に関する介助を行うサービスです。
で、要介護1~5の方であれば(要介護者)、この身体介護は必要に応じてイレギュラーにケアプランに組み込むことができるので、例えば月に一回この日に病院行きたいなってなればそこでピンポイントに利用することが可能です。
ところがどっこい、基本的に要支援者の訪問介護は、月額固定の包括性なので、そういったイレギュラーな利用方法は想定してないんですね。
毎週この曜日にこのサービスを行いますって決めてケアプラン作成するんですよ。
で、細かく言うたらもうややこしすぎるから飛ばしますけど、要支援の場合は基本的には一時間程度のサービス時間で計画を立てます。
だからまあ、毎週同じ曜日の同じ時間に、一時間以内で終了する通院介助だったらケアプラン作れるかな。
多分。うん、多分。
そうなると
「何か今日体調が悪いから病院に連れて行ってほしいの」
「いつもは家族が付き添う通院、代わりにヘルパー利用したいの」
「遠くで待ち時間の長い病院ついてきて」は
無理。
どうしてもってことになると、あとでお話する「自費サービス」を利用することになります。
要介護者の通院介助の場合 身体介護の算定方法
ではでは、要介護1~5の方のお話いきましょう。
前述した通り、要介護者のケアプランは自由度が高いので、必要だなって思う時に身体介護は利用できます。
イコール通院介助もしかり。
でもね、ここで基本的な情報なんですけど、身体介護は、体に関係する介助を行うことなんですね。
で、この介助を行っている間しか、介護保険は算定できないんです。
どゆこと?
Aさんは外出時は車イスを利用します。
ヘルパーが車イスを押して15分かけて駅につき、電車に乗ります。
電車に揺られて15分。駅から病院まで5分かかります。
診察券を入れて待ち時間が30分。
診察時間が10分。
会計を15分待って、来た道を同じように帰ります。
身体介護が発生して介護保険が算定できるのは赤字部分だけ!!
( ゚Д゚)
もし病院でトイレ介助されたり、移動介助を行っていたらその時間も算定できますけど、ま、しれてますわ。うん。
つまりは待ち時間とか診察室の中は介護保険きかないのってことだけ言いたかった、うん。
ちなみに市町村によっては
「病院に一歩でも入ったら介護保険は利用できまっせん!!」
てとこもあります。
厳密には病院内は医療保険の範疇ですから。
なので、そもそも院内算定するためには、病院にアポを取って
「院内介助はそちらでされますか?」
て確認しておく必要があるんですね。
じゃあ、電車乗ってる時間とか待ち時間とか、ヘルパーさんはただ働きになっちゃうわけ?
そりゃねえぜってなりますよねなるだろなってよ昔はほとんどそうだったんだよ
そこで登場するは次の「自費サービス」システムです。
通院介助は介護保険と自費サービスの組み合わせが主流
タイトルで出オチだな。
結局、介護保険制度的には
「訪問介護は原則家の中のことをするサービスなんだから、通院介助は診察券入れるまでね☆
そのあとは医療保険がお金もらってんだからそっちでやってね☆」です。
それができりゃあ通院介助イラネ。
結局通院介助をヘルパーさんに頼みたい人は、病院の待ち時間も誰かについていてほしいし、先生の話だって誰か一緒に聞いてほしい人ですよね。
で、病院としてもそういった方に一人で来られちゃ困るわけですよね。
とはいえ、介護保険の算定できないところをヘルパーさんが我慢するってのもおかしいですよねってことでようやく登場するのが自費サービスです。
今はほとんどの訪問介護事業所が、通院介助の算定できない時間(中抜き)を自費請求しています。
ヘルパーさんの身体介護の時給がだいたい1600円前後として、その時間を保障するプラス事業所の取り分合わせて、一時間2000円~3000円の設定が多いかな?
身体介護の1時間の単位は約400単位(加算は除きます。利用時間に応じて単位の幅はあります)なので、自費になるとずいぶん自己負担は増えますよね?
これで中抜きが二時間三時間あったらどうなりますか?
そう。ようやく結論。
「ヘルパーさんにお安くで病院連れてってもらえるんでしょ?」
は都市伝説なんです。
そもそもややこしすぎて、通院介助は受けませんっていう事業所さんも多いです。
この説明をすると、けっこう家族さんとか利用者さんとかがっかりされるし
え、マジかよってなっちゃうし
そもそもこれ言っていいのかな、今でもこの自費請求はしなくて中抜き部分はヘルパーさんが泣いてる事業所もあるんですけど、私的にはとても良い落としどころを見つけた利用方法だと思います。
拘束時間をヘルパーさんがお金もらえないのはおかしいしね。
でもね、私も家族の通院介助してるからわかりますけど、仕事休んで病院連れて行くのって大変じゃないですか。
それなら一日しっかり働いて、ヘルパーさんにお金払うほうが安くつきます。
そういう割り切り方も大切だと思います。
ただまあ、自費サービスは生活保護の人は使えないし、やっぱり払うのがしんどいって人もだろうし、そういう人どうすんだって問題にもなるし結局私らケアマネが行く羽目なったりするし
通院介助の中抜き部分の介護報酬ができればいいなあと思います。
以上、介護保険における通院介助のほんとのところでした☆