ケアマネ日記

ヤングケアラー問題について 思うことやできること

ヤングケアラー。

この言葉を聞いたことがあるでしょうか。

言葉自体ができたのは最近ですが、この問題自体はもうずっとずっと昔からあった。
というより、昔の方がひどかったのではないかと思います。

ヤングケアラーの定義や取り組みについては、厚労省のサイトでとてもわかりやすく説明されています。

ヤングケアラーについて

厚生労働省サイトより引用

引用を続けますと、サイトにわかりやすくイラストで説明されているのですが

基本は18歳以下を想定。

厚労省がこの問題に取り組み始めてからまだ数年ですので、資料もそう多くありません。

↑これスクショなんで、リンク押しても飛びません(ごめん)。

で、これを読みますと

この資料は最新の令和2年のものにはなかったので、平成30年のものですが、今も大きく内容は変わっていないのかなと思います。

平成30年の資料と最新の令和2年の資料では、内容の充実度が全然違うのですが、その理由はおそらく社会の認知度が変わったから。

これは令和2年の資料

私たちの業界でも、今年度に入ってからヤングケアラーの研修や行政からのお達しが増えてきています。

ちょうど成人の日でもありますし、私もプチヤングケアラーだった部分もありますし、そして「高齢者の」「相談支援職」、さらに子どもを持つ親として、ヤングケアラーに思うことを少し書いていこうかなと思います。

あくまで個人の意見なのですが、私としては何でもかんでも「ヤングケアラー」としてしまうことはあまり賛成ではありません。
し、今後の世の中のヤングケアラーに対する動きをとても危惧しています。

それに関してもまたのちほどお話しますね。

ヤングケアラーの線引きはどこ?

さて私の本職は、高齢者相手の介護保険のケアマネジャーなんですけども。

こちらの界隈では、さほどヤングケアラーというのはいないのかなと思います。

これに関しては土地柄もあるんでしょうが、私が働く地域は、何度か書いてますけど高齢者独居か老老世帯がほとんどです。
子ども世帯との同居もほとんどいない。

さらにいうなら敷地内同居もない。

そもそもそこまで広い土地もない(都会ではないが住宅密集地)

ただ過去に一人だけ、娘さん家族と住んでいる三世帯の方はおられたんです。
当時お孫さんは一番小さくて中学生だったかな?

寝たきりでかなり介護度の重い方だったので、そもそも孫に介護をしてもらおうという頭は私たち事業所サイドにも、キーパーソンの娘さんにもありませんでした。
とても無理だし技術的に。

シングルマザーで忙しい娘さんだったので、介護保険をフルに使ってサービスを入れました。

しかしそれでも足りない部分というのは往々にして出てくるわけで、もちろん娘さんが食事介助をしたりおむつを交換したりもしていたわけですが。

孫ちゃんたちが家にいる時は、水分補給とか体位交換をしてもらってたんです
え、これヤングケアラーになるん!?

グラフに戻ってみた。この辺にあたると言えばあたるのでは。

この辺が、私がヤングケアラーに対して危惧している理由のひとつ。

百人いたら百人の中に、全員違う「ヤングケアラー判定人」がいるわけじゃないですか。
あなたの中にもいるでしょうそうでしょう。

とにかく定義が難しいんです。

例えば私も娘さんも、それこそ関わっている他の事業所さんも、この時は

単位も全然足りないですし、夏は水分取らなきゃだし
寝返りしないと褥瘡できたら大変だし

孫ちゃんが家にいる時ちょっと手伝ってもらいましょう

て決めたんです。もちろん孫もいいよやるよって言ってくれましたし、やってくれてた。

でもこれ、取りようによったらヤングケアラーですよね?

本人がいいって言ったから大丈夫って判断するのは、膨大な資料と厚労省が許してくれない。
知らんけど。

そもそもやりたくないから嫌だって言える子や、言える環境じゃないから問題になるわけですし。

この時の孫はキャラ的に(←)別に本当に苦にしてなかった(と思う)んですけど、この先同じようなケースが出てきた場合。

ケアプランに「時間のある時は孫が水分補給を行う」とか書いたら

これヤングケアラーでしょう!!!!

てなるんかなと。なりそう。なるやろ。令和はなるやろ。

じゃあ孫の手を借りずにどうにか過ごしてもらおうと思ったら、娘が仕事辞めるか本人が水分諦めるかになるんですけど、それは仕方ないのか。

それもあかんに一票。

ここで、学校行かずにおばあちゃんの面倒みときなさいってなるなら、そりゃ立派なヤングケアラーだと思います。
本人がヤダヤダ言うてんのを無理強いしても、ヤングケアラーかもしれません。

じゃあ本人がいいよって言ったらヤングケアラーにならないのかというと、それも違うんでしょう?
判断基準なんなの?

わからんようになってきました。

ただ、こちらの業界は何と言ってもケアマネが付くわけですので、介護を誰がどう行っているのかというのは細かく聞き取ります。

そういう意味では、子どもの負担が大きいかは判断できることが多いと思う。

ただし、ケアマネにつながっていない、お金がないやその他の理由で介護サービスを受けていない高齢者となると、ヤングケアラーも出てくるとは思います。

親や兄弟のためのヤングケアラー

さて、本当に問題にしないといけないというか、考えていかなくてはいけないのは、高齢者相手よりこちらかと思います。

親や兄弟のケアをしなくてはならない子どもたち。

先ほどから出ている厚労省の調査を抜粋しますが(令和2年の分です

こうなっています。

私の実感としても、親や兄弟に障がいがあったり、何らかの支援が必要である場合にヤングケアラーになることが多いのかなと。
というかそうならざるを得ないんじゃないかと。

先ほどの事例とかぶりますけども、家族に何らかのケアが必要な場合、ある程度の負担が来るのは当たり前ですよね。

それをどこまでヤングケアラーと定義して、行政や支援者が介入するのか。

このケアを行っているから、学校を休みがちだから、友達と遊んでいないからヤングケアラーとするのもおかしいですよね。
日常の子どもらしい生活を外ではしているけど、家では全く違う場合もある。

冒頭にちらりと書いたんですが、子どもの時の私もプチヤングケアラーだった部分があるんです。

うちの場合は父親が働いていなくて、母親がおかしくなって宗教に狂っていたという、シンプルに言えばネグレスト方面なんですけど。

どんなに病気をしても保険証がないから病院に行けないとか
あした食べるものがマジでないとか
掘っ立て小屋みたいなとこ住んでたとか方面です

家庭がこんなんなので高校に入って部活したかったけどバイトするしかなかったし、両親が何も判断できないので(今思えば精神科かからなあかんかったレベル)、すべてのことを一人で決めないといけないとか。

元ヤングケアラーってことで話進めていいですか!?
(あかん言われても進めます)

この時のことは思い出すのもしんどいですけど、自分が普通の環境ではないことはわかってた。

でも、その時に行政とかに助けを求めるのは、やり方も知らないし何より恥ずかしくて絶対無理だった。

子どもにとって親って絶対ですしね。
よその親がうらやましくて仕方なくても、結局我が親捨てるってのは難しい。

あの頃に、家の状態大丈夫か聞かれてたら

うーん、まあいろいろあるけど大丈夫です

としか言わなかったでしょうし、ましてや親兄弟が立派な(というのも変だけども)病名や疾患名が付いていたら、よけいに面倒みた気がする。

そこから手を引くのは、かなりの覚悟が必要だと思います。

そもそも(もう一回貼りますけど)、左上の二つとか、これ判断すごく難しくないですか?

障がいや病気のある家族のために家事するのはヤングケアラーになるとしたら、単純に親が忙しくて家事をしている子はどうなるのかとか。

きょうだいの世話もこれ微妙なところですよね。

ただ、私がここまで書いてるん読んだら

何でもかんでもヤングケアラーって決めつけるのは大反対ざます!!

て言うてるみたいですけど、そんなことないです。

むしろ子どもが子どもらしく生活できないまま子ども時代を終えると、その後の人生に大きな悪影響を及ぼしかねないので、ヤングがケアラーになるのは反対は反対です。

というよりも、子どもに似つかわしくない重荷を背負わせることは非常に反対。

子どもがすべきことは、「食う寝る遊ぶ勉強する」。以上。

ケアをするということは、子どもには味わわせてはいけない責任や負担を強いてしまうので、ヤングケアラーになっている子を救うのはもちろん絶対に必要なこと。

ではそのためにどうすればいいのかの話。

ヤングケアラーを救うには

さて、じゃあヤングケアラーになる子どもを救うために、どうすればいいのかなんですけども。
どうしたらいいと思いますか??

例えば

私ヤングケアラーなんです!
助けてください!

と、相談窓口(厚労省のサイトにたくさん載ってます)に助けを求めた子には、行政や関係機関が動くと思います。

でも、定義の線引きが非常に難しいこの問題。

自分はヤングケアラーではないと言われてしまったら、それが真実であろうがなかろうが、介入は難しいと思います。
家族の問題ってそういうもんなんです。

あと、定義がないとなかなか行政動かない

そもそもなんですが、ケアされる側の受け皿全然用意できてないですよね。
私が言いたいのそこなんですよ。

もし私の利用者さんが18歳以下の子どもに介護されていて

ヤングケアラーです!子どもが介護してました!
これ以上はさせられません!
どうにかしてください!!

ていきなり言われたらよ。言われたらよ。

いやそんなん言われてもどないしょ

途方に暮れるだけですね。間違いない。

要介護度や経済状況によっては施設入所も無理だし、介護保険には区分支給限度額があるから単位も足りなくなる。

利用者本人が虐待されてるとか暴力を振るわれているなら緊急で受け入れ先もあるでしょうが、そうじゃないならなかなか例外は認められないですし。

ヤングがケアしている対象が、高齢者か親世帯かきょうだいかで支援者も法律も変わってくるし、なかなか難しい問題かなと思います。

ヤングケアラーを救うためには、まずケアされている側を救わなくてはいけないのに、そこが徹底されていない。

あとはこの言葉が普及することで、親やきょうだいに障がいがあったり、きょうだいの多い家庭の子を

あそこの子ヤングケアラーだわ!

と決めつけちゃうのも本当に危惧していますし危惧しています(繰り返した)。

結局のところ、必要以上に騒ぎ立てるんじゃなくて(これだいじ)(毒親とか親ガチャとかの言葉と混じるのが一番心配)

みんながヤングケアラーという存在を知ること

理解して、社会で子どもを守っていこうと思うこと

これが一番大事なんじゃないかなと思います。

すべての子どもが幸せに子ども時代をすごして、健やかに成人を迎えられる社会になりますように。

そのために、大人ができることを考えていけるきっかけになればと思い、答えの出ていない記事を書きました(自覚あります!)

ではー