介護は終わりが見えず、手間も時間もお金もかかり、精神的に不安になってしまうもの。
その悩みをうまく吐き出せず、抱え込み苦しんでいる人にぜひ読んでいただきたい記事を書きました。
もし何か悩んでいる人がいれば、この記事だけでいいので最後まで目を通していただけたらと思います。
とある昼下がり、珍しく夕方まで訪問がない私は早めの昼食を食べ終え、眠気覚ましのコーヒーでも作るかとお湯を沸かし、ぼんやりとしていました。
そんな時、一本の電話が鳴りました。
事務所は私一人です。
そこからすべての物語が始まったのでした。
「ででーん!!」
目次(クリックするとその項目に飛びます)
誰にも言えなかった介護の悩み
ごめんなさいずいぶんふざけましたけど、今回ものすごく真面目なお話です。
これね、電話出た瞬間私ちょっと怯んだんですね。
かけてきた方が、ものすごく怒り口調の女性だったんです。
年のころなら70代前半かな。
ちなみにですが、この仕事をしているとありとあらゆるクレームを受けますし、自分は悪くないけどとりあえず謝って事をおさめることなんか一日500回くらいあります。
なので反射的に謝る準備をしたんですが、内容はクレームじゃなかった。
溜まりに溜まった介護のつらさを吐き出すための電話だったんです。
結論から言いますと、電話をかけてこられたのはとある高齢女性。
ご主人が認知症ではないかと疑っておられ、主治医の勧めもあり介護保険の認定調査を受けてほしいと思っているのに、本人が怒りだし話にならない、という相談でした。
始めは介護相談というよりも、介護用品の問い合わせでかけてこられたのですが、うちは介護用品は扱っていませんというと
と怒り出されました。
一日500回謝ってますから、秒で反射で即答で謝罪ができます。
あまりにプライドのない即謝りで逆に相手は怯み、少しトーンが落ちたところで、その商品を売っている店を紹介。
で、誰が使うんですかという話から、ご主人の介護をどう進めたらいいのかわからない、もうしんどくてたまらない、という介護相談が始まりました。
その間4時間。
わかってくれないご主人のこともそうですし、そこに至るまでの結婚してからの関係性、子供のこと孫のこと、お姑さんにされた仕打ちや、自分も高齢になってきたので、自分の体もしんどいこと等々…
そして何より今ご主人の介護がつらくて仕方がないこと。
どうしていいかわからないこと。
まくしたてながら、時には声を震わせながら、女性は4時間しゃべり続けました。
誰も聞いてくれなかった。
誰に話していいかわからなかった。
こんなことあなたに話すことじゃないってわかってる、お金にならないのにごめん、何度かそう言われました。
うちの事業所には電話回線は一つしかないので、何度も他から外線は入ってました。
営業さんと事業所さんが来たけど、ゼスチャーと筆談で帰ってもらいました。
それでも、これは絶対に最後まで話聞かなきゃだめだと思った。
たとえどんなにトイレに行きたくても!!
意外とできないもんです情けない。
4時間話してようやく女性も胸のつかえが取れたようですが、根本的な解決にはなっていません。
でも後日、ご主人の様子をうかがいにご訪問することになりました。
うまく良い方向に向けばいいなと思っています。
介護相談は聞き上手な人を探してアポを取ろう
介護の相談や悩みだけではなく、子育てにしても一般的な悩み全般そうだと思うのですが、誰かが話を聞いてくれて、傾聴してくれるだけで心が楽になることはありますよね。
特に介護のことに関しては、本人の拒否が大きかったり、なんだか恥ずかしい気持ちもあったりして誰にも相談できず、抱え込んでしまうことが少なくありません。
特にこの傾向は男性介護者に多く、虐待事例等も男性介護者の場合が多いです。もちろん熱心な男性介護者の方も多いですよ。
多くの市町村では「男性介護者の会」がありますので、勇気を出してそういった場所で悩みをみんなで共有してもらえたらなと思います。
今はSNSも盛んですし、そういったツールを使って吐き出すのも一つの方法かと思います。
誰かに話を聞いてほしいけど、そんなことしていいのかなってもし思われてるようでしたら
いいんですどしどしお話しくださいご相談ください。
そのあと利用者さんにならなくても構わないです。
お近くの地域包括支援センターもしくは居宅介護支援事業所に連絡をして、相談してください。
できれば事前に「ゆっくり話を聞いてほしい」と伝えてもらえたら助かります。
どうしても他の利用者さんの訪問とかがある仕事ですので、突然だと時間が取れないことがあります。
万が一相談したくてアポの電話をしたとき、その対応が悪かったりめんどくさそうだったら、そこはやめて他をあたってください。
☞ケアマネの探し方の「裏話」にあるように、お金にならないことをしたくない人はいますから。
楽になりたくて話をしたのに、態度悪く聞かれたら本末転倒だし、二度と相談する気が失せますよね。
できるだけいい人そうで聞き上手そうな人を選びましょう。
「話を聞いてくれますか?」って聞いて「もちろんです」って言ってくれる人にしましょうね。
ちなみに私だったら?
居酒屋風にご注文お受けします。
長く介護の仕事をしていると、介護疲れによる不幸なケースを経験しているケアマネは多いです。
そしてもちろん私もその一人。
少しでも不幸な事例がなくなるよう、私たちも話してもらえる雰囲気づくりをしていかないとなと思っています。