介護に従事する人もそうでない人も、一度は考えていただきたい「高齢者の虐待」についてのお話をしていきます。
虐待というと、高齢者に限らず子供や動物にもあるわけで、高齢者ならではの問題というわけではないのですが、私たち介護従事者は虐待については定期的に研修等を受けます。
特にケアマネの立場ですと、家族とも深くかかわる職業柄虐待に気づくことも多いですし、その情報を事業所から受けることも多い訳です。
その上で高齢者の虐待について私が感じること。
誤解を恐れずいうなら、誰にでも起こりうる事案。
そう思ってます。
だからこそ、知ってほしい現実がある。
それが高齢者の虐待問題です。
目次(クリックするとその項目に飛びます)
高齢者虐待の種類は5つある
高齢者の虐待に関しては、きちんとした定義があります。
少し難しい内容ですが、とてもわかりやすく書いてあるので、介護従事者の方は一度は読んでおきましょう。
高齢者の虐待の種類は5つ。
①身体的虐待
②介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)
③心理的虐待
④性的虐待
⑤経済的虐待
この手の虐待を発見したら、ケアマネは地域包括支援センターに報告する義務があります。
私は過去8年間のケアマネ経験で5回虐待の報告しています。
これが多いのか少ないのかはわかりません。
氷山の一角かもしれません。
ものすごく嫌な言い方をすると、
②ネグレスト
③心理的虐待
⑤経済的虐待
に関しては、報告するほどではないけれど、事業所間で注意して見ていきましょう程度のケースはもっともっとあります。
殴る蹴るの虐待ですと、緊急性もあるしわかりやすい(という言い方はどうかと思うんですが)ので、こちらも対策を練りやすいんですが、高齢者の虐待は本当に線引きが難しいです。
②ネグレクトに関しては、ご飯を食べさせない、着替えをさせないなどが考えられますが、高齢者の場合は認知症等で実際に本人が拒否している場合も少なくないんです。
嫌がるから介助していません、それをネグレクトと片付けるのが正解かどうかは難しいですよね。
しかも、認知症だと(いやそうじゃなくても)、サービス事業所の言うことは聞くけど家族にはそうではないというパターンもありますから、そうなると実際のところはほんとわからない。
③心理的虐待はねえ…これもっと難しいですね。
本人が嫌がることを言えば虐待なのかどうなのか。
高齢者の場合は、それまでの家族との関係性が各自本当に違いますから。
昔からきついことを言い合う家族もいますしね。
ただ、印象としてはこの虐待が一番多いです。
言ってはいけないことを言う。
虐待者に虐待の自覚がないのも特徴かと思います。
⑤経済的虐待もね、「子供がお金握って渡してくれない」と親が言えば、「お金を渡したら渡した分だけ使い切るし、おかしなものも買ってしまう」と子供が言う。
利用者の年金で何人もがご飯を食べている場合も少なくないですから、「本人の年金は本人のために全部使ってください」なんて言えるはずもないし。
なかなか難しい問題です。
高齢者の虐待に気づいたらどうすればいいのか
私たち介護事業所が関わっていれば、もちろんケアマネを通じて地域包括支援センターに報告し、必要と判断すれば市町村も介入し、隔離等に動きます。
でもですね、ネグレクトや経済的虐待の事案であれば、そもそも介護保険を利用していないケースもあるわけです。
難しいところですが、例えば高齢者の一人暮らしや高齢夫婦なんかだと、民生委員が把握し介入があります。
でも、家族が同居であればそれはない。
そして、虐待は同居家族からの場合が多いんです。
じゃあどうすればいいのか。
虐待を受けている高齢者本人が外に出ることができて、誰かと話し合う機会を持っていればそこから何かが発見されるかもしれません。
特に今の医療機関はこのあたりの意識が高いので、「虐待じゃないですか?」と報告をくれたりもします。
あとは、これを読んだ後少し心に入れておいてくださいって言うのがココ☟
「あなたの周りに介護に疲れていたり、家族(高齢者の)の愚痴を言っている人はいませんか?」
☝これね。
なんだよ愚痴も言っちゃいけねえのかよ
介護されてる人そう思っちゃうかもしれないですけど、そうじゃなくて。
愚痴言ってるからって虐待してんのかよ、そうじゃなくて。
結局は高齢者の虐待の大半は介護疲れが原因なんだと思うんです。
だってしんどいもん。
終わりが見えないもん。
しかもちょっときつく当たったら、虐待とか言われる時代だもん。
そりゃ疲れるってな話でしょ。
だからね、その愚痴を言ったり疲れたりしている人にね、「介護保険使いな」とか「地域包括に相談行きな」とか、「そこらのケアマネ事業所で話聞いてもらいな」って言ってあげてほしいんです。
特に男性介護者は抱え込みがちなので。
虐待はされる方もする方も非常につらいんです。
「よろしくおねがいします!」