ケアマネ日記

認知症の人が一番介護してくれる人を悪く言う理由と、その対処法

在宅のケアマネジャーとして働いていると、利用者さんよりも利用者家族さんの悩みを聞くことが多いです。

その中で、ナンバーワンやりきれないお悩みは

 

私が一番介護をしているのに、私のことを周りに悪く言うんです

 

これ。

 

認知症の人は一番身近な人を悪く言う、という話を聞いたことがある方は多いかと思いますが、実際のところそれは正解かと言いますと正解です。
大正解です。

 

ただ、きっとこれは皆さんがほんのり想像しているよりも深刻な問題で、これきっかけで精神的に参る家族さんもいますし、在宅介護を継続できなくなることもある。

し、最悪家族断裂します。

家族断裂します。(二回言うた)

 

今日も今日とて、献身的に介護をする家族さんに

 

私が通帳を盗んだとヘルパーさんたちに言いふらしていて
心が折れました

 

と、涙ながらの相談を受けた我。

 

そこで私が答えたことや、私なりに考えたなぜそうなるのかの理由、その解決方法をここで書いていこうと思うのですが。

 

これ、そういったお悩みを持つ家族さんにも読んでほしいんですけど、そうじゃなくて。
全然そういう立場にない人。

 

が、もし離れて暮らす親御さんや、周りの高齢の方から

 

うちの娘は私のお金全部持ってっちゃって!!
何の世話もしてくれないし!!

 

なーーんて言われたら、言われたらよ。

 

無条件に信用すんじゃないよ!!という、ある種戒めを込めて。

お伝えしていきたい次第でございます。れつごー。

 

認知症 一番の介護者が一番悪く言われる理由とは

一番身近で介護をしてくれる人を憎しみや不穏の対象にしてしまうのは、認知症の特徴のひとつです。

認知症の症状は千差万別ですが、この現象はほぼほぼ皆さん共通しています。

というか、ある段階の認知症の方がほとんどこうなっちゃう。

 

認知症進行中の時期ですね、いわゆる混乱期。

この時期だと、離れて暮らす人だと認知症に気づいてないこともあるので、

 

んま!!
あんたとこの嫁さん、そんなこと言うの!?

 

真に受けちゃうこともある。多々ある。

それが余計につらいわけです介護者さんからしたら。そりゃそうです。

 

どうして一生懸命お世話してくれる方に対して被害妄想が出ちゃうかと言いますと、ご本人に聞いても正解はわからないわけなんですけども。

単純に、一番身近にいるから印象に残ってんだろうな、と私は思います。

 

この時期って、自分でも認知症の状態とそうじゃない状態を行き来していて、すごく精神的に不安定なんです。
怖いんです。

ふと我に返った時に、大事なこと覚えてなかったり。
何かおかしなことしでかしていたり。
財布や通帳や鍵なくしていたり。

それはもう、とてつもない恐怖です。
自分がどうなるかわからない不安。
もしかしたら、自分は認知症なのかもしれない!!!

(そうなんだけど!!)

でも認めたくない!!!

(認知症なんだけど!!)

そうだ!!!

 

財布がないのは、娘が持っていったんだわ!!
だっていつも家に来てるもの!!!

 

こういう流れ。↑

 

ようするに、不安に思ったその現場に一番いる人になすりつけるのが、自分の精神衛生上一番いいし、やりやすい。

認知症かもしれない(そうなんだけど)自分を守るためには、他の人のせいにするのが一番いいんですよね。
はたから見てりゃむちゃくちゃな理屈でも、自分を守るためには自分だけがつじつま合えばいいので。

 

誰かのせいにしたい、と思ったその時にそこにいる、もしくは一番関りが強くて印象に残っている。

そういう人がやり玉にあげられるからこそ

「認知症の人は、一番自分のお世話をしてくれる人を悪く言う」

ということになるんだと思います。

あとは単純に甘えもあるでしょうね。

 

とにかく、それなりの理由があって一番よくしてくれる介護者を悪く言うのであって、それはもう仕方ないんです。
だから、気にしなくていいし、許してあげてほしい。

 

て言われて「そうですか」ってなる人いないですわなあーーーーーーー!!!!

 

いるとしたら、神か仏かブッダかマリアだよ!!!!

 

 

理由がわかろうがわかるまいが、いしょけんめ介護してんのに悪口言いふらされたらたまったもんやないですよね。

わかりますわかります。

 

神でも仏でもブッダでもマリアでもない方は、そういった場合どう対処すればいいかをまとめたので、参考にしてみてください。

 

一生懸命介護をしているのに悪者にされたらどうすればいいか

もう一回おさらいしますけど、そして当事者じゃない人想像してほしいんですけど、一生懸命介護しているのに面と向かってもしくは、陰で悪く言われてたら

ほんっとに!!!!
ショックです!!!!

ショックだしきつい!!

 

その上にもし周りの何にも知らん人間が、本人の話だけ鵜呑みにして

 

もうちょっと優しくしたげなあかんよ

 

なんて言うてきてごらんなさいよ!!!

神でも仏でもブッダでもマリアでも腹立ちます。

 

だからね、介護だけでもないけど、根拠のない悪口に同意しないで下さいね。
真実が何かわからないなら特に。

 

介護しているのに悪口言われるのって、腹が立つのもあるけど恥ずかしかったりもするんですよね。

こんなに一生けんめい介護してるのに悪口言われて、自分のやり方が悪いんじゃないかという思いとか。
みんな、ちゃんと介護してたらこんなこと言われないと思ってるんじゃないかとか。

だから絶対に責めちゃダメ。ダメなのよ。

もしあなたが介護をしていない人で、例えば遠く離れた両親のお世話をお嫁さんがしてるとしてよ。

 

お嫁さん何にもしてくれないし、私のお金も使っちゃうしもう!!

 

とか言うてるのを真に受けてよ。

 

ありゃあ、それはひどい!!
ちょっと一言いうたるわ!!!

 

とか言い出してみなさいよアナタ。

一生懸命介護しているお嫁さんに、「世話もしないしお金ばかり取られるって言ってるよ!」とか言いなさいよアナタ。

 

嫁さん逃げてアナタが介護しないといけなくなりますで!!!!!

 

まあお相手が嫁でなくても同じです。
むしろ、兄弟でもめることの方が多いです。

ようは、何もやらないやつが口だすんじゃねえという話。


だいたいこういうタイプはお金も出さんし介護保険の知識もないしたまに介護の話一発したろ思ってケアマネにわけわからんこと言うてくるつまりは嫌い。

話それました(自覚あります)。

 

ようするに、どれだけ介護してるか知らない身内にも悪く言われることあるし、だからといって介護を変わってくれるでもないし、介護している当人は

私の通帳返して!!

 とか言うてくるし知らんがな自分がなくしたんでしょが!!!!

と思うけど言えないし。

ホントつらいと思いますが、よくある話なんです。

では、こういう場合どうしたらいいんですかって質問されたとき、ケアマネである私がどう答えているかをお伝えしましょう。

認知症の進行を待つ

これはもう、解決方法の断トツ一位。
むしろ解決方法はこれしかない。

とにかく、何かがなくなったりつじつまが合わなくなったりしたときに、身近な人を悪者に仕立て上げて自分を守る。
それが理由で、一番介護してくれる人を悪くとらえてしまう、ということは前述しました。

これが治まるのは、その混乱期を抜けて、もっと認知症が進行したとき。

何かをなくしたとか、物事のつじつまが合わないとか、そういうことがそもそもわからなくなったとき、です。

この時期を抜けると介護サービスの拒否もなくなったり、ものすごく言い方は悪いですが、「扱いやすく」なります。
そして、本人も自分の物忘れ等で苦しむことがなくなり、穏やかになることが多い。

なので、いろいろなことがわからなくなり始めて、不穏だったり興奮したりしている人を見ると、私たち業界人は

もう少し進行すると、本人も家族も楽になるんだけどなあ

こう思うわけです。

ただ、認知症が進行するのがいつかは誰にもわからない。
それどころか、進行するのかどうかもわからない。

進行して穏やかになったな、と思ったら、また戻るケースもあります。

確かに唯一にして確実な解決法ではあるんだけども、認知症者が進行して穏やかになるのを待っている間、ひたすら悪口に耐えられるわけではありません。

神でも仏でもブッダでもマリアでも無理です。

じゃあ他にどうすればいいか。

とにかく距離を取って、関わりを少なくする

一番具体的で、かつ皆さんに実行して頂いている方法がこれです。

とにかく距離を取る。遠くから見守る。
事業所に振れるサービスはみんな振る。

本人の目の前から消えてもらうと。

そっと見守る。

ようは一番印象的で身近な人が攻撃対象になるんだから、離れればいいんです。

同居だから無理、という方もいるでしょうが、できるだけデイサービスやショートステイに行ってもらうとか、同居していてもあまり関わらないとか。

もしくは大事なことや言いにくいことは、ケアマネや事業所に言わせるとか。

献身的に介護している人だと、そんなことできません、て言うんですけど、できますよ。
もともと誰も介護人さんがいない人もどうにかやってんですから。

とにかく距離を取ってください。

こういうと

他の人に迷惑かけちゃうかもだし
私のこともっと悪く言うかもだし

と、気にされる方多いんですけど、大丈夫です。

実際この方法は皆さんにおススメしていますけど、距離をあけることで、介護者への被害妄想や攻撃的な発言がなくなることがほとんどです。

その矛先が事業等に来ることはあるんですけど、そんなもん私ら全く平気なので気にしないでいただきたい。

あと、確かに事業所さんに家族の悪口言う利用者さんは多いです。
めっちゃ多い。
むしろ家族の悪口しか言わん人もいる。

でも、そこで私ら

そりゃあ!!家族さん!!ひどいすね!!!

とか絶対言わないので。言うわけないので。

9割の返答が

ふーーんなるほど

です。暖簾に腕押すより手応えない。

残りの1割は「いい家族さんじゃないですか」的なフォローです(もっと比率増やせ)。

で、

いつもよくしてくれていい家族さんじゃないですか

ていうたらですね、大体の方が

うーん、まあそうなんだけどね

てなるんですよね、じゃあ10割それで返答お願いします案件。

心のどこかでは、皆さん介護してくれていることに、きちんと感謝しておられるんですよ。
ただ、自分の心を守りたいだけなんです。

だから、あんまり本人の意見を否定せずに、ふーんって傾聴してあげて、3割くらいで家族さんを褒めるのが事業所の正しい在り方かなと思います(比率変わった)。

はじめに書きましたが、献身的に介護してるのに否定されるのは、本当につらいんですが、よくある話なんです。

そこで、つらくても無理して同じ介護を続けるのは、誰の得にもなりません。

前述したように、本当に家庭崩壊しますから。崩壊した家族たくさん見てきましたから。

ですから、どうか一人で悩みを抱え込まずに、まずはケアマネに相談してくださいねというのと。

とにかく介護してない人間が、何もわからず介護してくれている人を責めるんじゃねえぞと!!!!

さらに訳のわからんことをケアマネに言うてくるんじゃねえぞと!!!←

いうお話でした!!

では~