ケアマネ日記

SNSで介護相談や情報収集をするときは気を付けてほしい件

私は普段、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(長い)、つまりケアマネジャーとして働いているわけですが。

趣味はアメブロやTwitter、インスタ等々、SNSを徘徊することです。

SNSには介護職が集まっている界隈が必ず存在するのですが、そういうのはほとんど見ません。
その理由はのちほど書きます。

私は単なるスマホ廃人として、日々SNSを楽しんでいるのですが、その中で介護に関するお話というのは、たまに目にするわけです。
界隈じゃない、普通のところで。

そういうのを数々見てきて、ちょっと思うところがあるので聞いてくださるか。

というだけの話。

SNSの介護のアドバイスをうのみにしない方が良い理由

SNSでは、子育てや夫婦仲、介護に関するお悩みがたくさん書かれています。

もちろん私も書いてます。
主に前半。特に中盤。

お悩みを書くのはもちろんいい。
吐き出すことは大切です。

そしてそれに対し、共感やアドバイスのコメントがもらえるのもSNSのいいところ。

なんだけれども。

私は子育てと夫婦仲はずいぶん失敗しているけど(自覚あります)、介護に関してはかなりのプロです(自分で言います)。

特に在宅介護や介護保険に関しては、プロ中のプロです(自分で言います)。

そういう私なので、介護という単語が出ていたらやっぱり気になってしまって、がっちりしっかり読み込みます。
コメントも余すことなく読みます。

その上で

うーーーーーん

と思うことがとても多い。

多分自分が何か専門分野の人(医療や保育、販売等何でも含めて)は、みんな同じ思いをしているんじゃないかなって思うんですが、わりともやもやすることが多いんです。

以下の理由で。

介護保険制度は地域によって違う

大前提として、介護に困っている人がいるからなんとかしてあげたいという親切心でみんなアドバイスしているわけですが、そもそも論として当ブログでも嫌というほど繰り返していますが

介護保険制度やサービスの提供事情は、地域によって大きく違う

んですよ。

ほんと違うの。
多分素人さんが想像している、五億倍違う。

私でいうなら、利用者さんが各市町村6つくらいにいるんですが、ほんと制度が全然違いますから。
申請方法から何から違う。
何から何まで違うといっても過言ではない。

いやこれは言い過ぎ(どっち!!!)。

とにかく地域性がある以上、自分の場合はこうだったああだった、だからこうしたほうがいいよというアドバイスは、時に的外れかもしれないんです。

例えばうちの地域は、比較的介護サービスを選べる立場にあります(要支援は除く)。
ある事業所が合わないなあと思ったら、他に変えることもそう難しくはない(要支援を除く)(要支援は無理)(要介護しか勝たん)。

でも、地域によっては本当に介護サービスが少なくて、選ぶ余地なんかないところもある。

私が以前委託を受けた利用者さんで、住所地がとてもとても田舎の方がいたのですが、その地域にはデイはひとつしかなかった。
しかも月水金しか開いてない。
地域包括支援センターも一個しかなくてしかも役所の中にあって、週三日営業。

一番笑ったのは、

村にヘルパーは二人しかいません

選ぶもへったくれもないよね!!!!
基本的な人員配置も割ってるもんね!!!!

介護保険サービスは、こんだけ地域差があるサービスなので、

今のところが合わないなら、次別のところ探せばいいよ!!

とかのアドバイスは、無意味だったりもするわけです。

責任者とかケアマネにちゃんと言ってさ
担当者とか事業所変えてもらわないと

とはいかん場合があるのです。

これがまず「SNSで他人の介護に簡単にアドバイスするべからず」の理由のひとつ。

要介護度や状態によって使える介護サービスはちがう

地域差だけではありません。

そもそも、僕らは世界に一つだけの花。
一つ一つ違う種を持つのです。

つまり一人一人状態も何もかも違うのです。

わりとよくあるのが、SNSじゃなくても

お隣の〇〇さんは私より元気やのに
週4回もデイサービス行ってまっせ!!!

的な。
ほななんで私あきませんのんな的な。

お隣の〇〇さんの要介護度も知らんし、主治医の意見書も知らんし、認知症のあるなしも知らんし、調査員誰が来たかも知らんから

○○さんは○○さん
マダムさんはマダムさんなので

としか言いようがないんだけど。

納得しないのよね。

私の方が何にもでけへんで〇〇さんのほうが元気やのに
私要支援であの人要介護やって!!

この理由で区分変更申請してくれ言われるん、めっちゃくちゃ多い。

知らんがなオブ知らんがな。

区分変更申請は、介護サービスの量が足りなくなった時にするものです。
〇〇さんに負けたくないからするものではない。

そして最近は、利用者さんよりも家族さんのほうで

ネットで調べたらこういうふうに書いてたんですけど
なんでうちの親ダメなんですか!!

ていうのが増えた。

増えたし、ネットで調べて勝手に福祉用具でレンタル購入ができるものを、素人の選定で買ってしまうことが増えた。

認知症にはこれが効くからというサプリを飲ませたり(それがあかんとは言わんけども)、膝腰の痛みが取れたと口コミの多い変な器具とか買ってみたり。

逆に

杖を使って歩くと杖に頼ってしまうと良くないってネットに書いてました

方面の、

「ネットがあかんて言うてることは、とにかくあかんので断ります」

族も増えた。

なおこの説には一理あるけど、だからといって杖使わんと独歩で歩いて四六時中転倒していたら、いつか骨折しまっせと。

介護職20年、居宅ケアマネ10年やってるけど、ネットがすべて族が増えてきたのはほんとここ数年の話。

これからもっと増えるでしょう(ぐえ)。

介護のプロのブログやSNSも信用するべからず

散々介護のブログやSNS発信をしてきてどの口が言うんかと思うでしょうが、私もそう思いますが。

なんぼプロが発信してても、まるっと信用するのは辞めたほうがいいです。

言い訳しますとですが、私は介護について発信する時には

・介護サービスは地域性があること

・同じ病気や症状や要介護度でも、必要なサービスや対応の仕方はちがうこと

これは強調するようにしていますし、全国共通する内容のみ断言するようにしています。

そして、個人的な意見については、必ず「私の意見である」と書くようにしています。

普段のケアマネの仕事としても気を付けていることで、介護のことで悩んでいる人って、本当に悩んでること少なくないんですよ。

思いのほかアホっぽい文章になりましたけど、ようするに本当に悩んでいるから、誰かに答えを断言してもらって、後押ししてほしいといいますか。
介護だけでもないんでしょうけど、

もうどうしていいかわからないから
誰か決めて!!

てなってる人が、救いを求めて相談してくることが多い。

でも、実際に関わり持ってるならともかく、SNSでそこまで責任持てますかと。

介護職の介護に対するスタンスや理想って、ほんといろいろなんです。

お客様商売として扱いたい人、いやいやフレンドリーにあだ名で呼びたい人、仕事として割り切って業務をこなしたい人や、できること何でもしてあげたい人。

それこそ在宅を推進するか、施設を推進するかも違いますし、今働いている職種によっても主張が違うでしょう。

「介護職として」持っている意見が飛び交っているSNSに、素人が突っ込んでいくのは大変危険です。

私は素人ではないけど、介護界隈のアカウントのSNSは

ひいい

尻尾巻いて逃げるもん。

皆さんよく勉強しているし(私の知らん介護保険の改正案とかめっちゃ知ってたりする)(どこで仕入れるんその情報)(この界隈のSNSかそうか)、たまにめっちゃ対立しているけど(←)、基本的には同じ意見の集まる人たちがこぞっているので、介護職始めたばっかりの人は見るといいかもですね。

私が介護職始めたころは、そういうのなかったですけどね(泣いてへん)。

そんな意識高いところに、素人さんが飛び込んで介護相談してごらんなさいよ。
むっちゃくちゃ来ますよアドバイス。

その中から、必要な情報取捨選択できますか?

たまにツイッターとかで、介護の話バズってるんです。
もうすごい数のアドバイスとか経験談きます。

それが全部同じ意見なわけないですから。

あとそもそも、自分の家の介護とか、ちょっと介護職として働いただけで介護をすべて知ったような顔して

認知症の人はデイサービスに行きなよう!!

とか

地域包括支援センターに相談行ったら何でも解決できるんだよう!!

てSNSでドヤ顔してるんよう見かけますけど、あれもどうかと思いますね。

デイサービスの種類全部言えんのかと。
地域密着型通所介護も知ってんのかと。
地域包括が地域によって特色めちゃくちゃあること知らんやろと。
(ケンカ売ってません)

でも何も知らないと、強い意見を鵜呑みにしちゃうんだよねえーーー。

そして「こうネットに書いてました!!」が来るんだよねえー。

だからまあ、幅広すぎる情報ほしい人は界隈飛び込むのもありかもですけど、気を付けてほしいですね。

あとはデイサービスとかの加算の算定要件知りたかったら飛び込むよろし。
(誰が興味あんねんな)

SNSに介護相談するよりも、まずはケアマネに相談を

ようするにこれが言いたかったんじゃい。

SNSで介護の相談するくらいなら、担当のケアマネに相談してください。
マジ土下座してお願いします。

利用者さんのこと、地域の介護資源、社会資源を知っているのは、担当のケアマネです。

何も考えずへらへらしゃべってるだけ見えても、会話の端々から情報をアセスメントしているし(多分)、さりげなくモニタリングしているし(おそらく)、各事業所さんから利用者さんの情報を随時聞いています(これはほんと)。

SNSで相談するくらいなら、ケアマネにしてくれ!!!

というのを、そういうの見るたびほんと思うのですよ。

でもケアマネである私が

こんなとこ書き込んでんと、ケアマネに電話して相談しなはれ

ってコメントしたら、やらしいやん!!!

あああああ
素人が的外れなアドバイスしてるの
真に受けてるううう

とか思っても!!書けないやん!!!

書きたいけどさ!!!

だからこの記事書いた(小心者か)。

少なくとも私の利用者さんが、私の知らんところでブログとかなんかで介護相談してたら泣くな。
号泣する。

ケアマネに相談できない関係性なら、ケアマネ変えてください。

ケアマネの選び方

まあでもこれだって、地域によっては簡単にチェンジできないんでしょうけども。

介護のこと、SNSに発信するのが悪いわけじゃないんですよ。
むしろじゃんじゃんしてください。

悩みを共感してもらったり、苦労をねぎらってもらうのはとても大事。

でも、解決法をネットで探すのは危険が伴います、ということを言いたかった。

あとは、困りごとはまずはケアマネに相談してほしい(これ)。
頼むから、相談してほしい(懇願)。

相談しにくいケアマネとか、聞きにくいなら私にメッセージください。
役に立てるかは知らんけど。←

とりあえず、SNSの前にケアマネに相談してくれよな★て話でした!!

では~